「産業用太陽光発電の設置費用はどれくらい?」
「費用を抑えるにはどうすればいい?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
産業用太陽光発電は、電気代の削減や脱炭素経営の手段として注目されていますが、初期費用が高額なイメージがあり、導入に踏み切れない企業も少なくありません。
実際の相場や費用の内訳、費用を抑える方法を把握しておくことで、より現実的な導入計画が立てられます。
本記事では、産業用太陽光発電の設置費用や内訳、補助金・税制優遇制度など、コスト面に焦点を当ててわかりやすく解説します。
記事を読めば、太陽光発電を導入するためのヒントが見つかるはずです。
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産業用太陽光発電の平均設置費用は1kWあたり23.9万円
経済産業省の資料によると、2023年度に設置された産業用太陽光発電(10kW以上)の平均設置費用は、1kWあたり23.9万円です(※1)。
設置タイプ別に見ると屋根設置型は1kWあたり平均22.3万円と比較的安価で、地上設置型は1kWあたり平均28万円と高めの傾向があります。地上設置は造成工事や架台の強度確保など、追加工事が発生しやすいためです。
ただし、実際の費用は設置場所の条件や施工業者によって変動します。「1kWあたり23.9万円」という金額はあくまで目安として捉え、詳細な費用は個別の見積もりで確認しましょう。
(※1 参考)経済産業省|令和6年度以降の調達価格等に関する意見
産業用太陽光発電の設置費用の内訳
産業用太陽光発電の設置費用の内訳を「設備費用」と「施工費用」の2つに分けて解説します。
設備費用
設備費用は太陽光発電システムを構成するパネル本体や電力変換機器、架台などの主要部品にかかる費用です。中でもパネル本体は全体費用の半分以上を占めています。
設備費用の平均は屋根設置型が1kWあたり14.9万円、地上設置型が1kWあたり16.6万円となっており、内訳は以下のとおりです。
【設備費用の内訳(※1)】
設備項目 | 屋根設置 | 地上設置 | 説明 |
---|---|---|---|
パネル | 8.4万円/kW | 9.9万円/kW | 太陽光を電気に変換する主装置 |
パワーコンディショナー | 3.2万円/kW | 2.9万円/kW | 直流を交流に変換する機器 |
架台 | 2.3万円/kW | 3.9万円/kW | パネルを支える台 |
その他の機器 | 1.7万円/kW | 1.6万円/kW | 配線、接続機器、監視システム、 キュービクルなど |
その他・割引 | -0.7万円/kW | -1.7万円/kW | 一括発注による割引や調整費など |
合計(設備費) | 14.9万円/kW | 16.6万円/kW |
地上設置では屋根設置よりも高い耐風・耐震性が求められるため、パネルや架台のコストが高くなる傾向があります。
(※1 参考)経済産業省|令和6年度以降の調達価格等に関する意見
施工費用
施工費用は太陽光発電の設備を現場に設置し、電力会社との連系までを完了させるための費用です。
施工費用の平均は屋根設置型が1kWあたり7.4万円、地上設置型が1kWあたり11.4万円となっています。内訳は以下のとおりです。
【施工費用の内訳(※1)】
施工項目 | 屋根設置 | 地上設置 | 説明 |
---|---|---|---|
工事費 | 6.9万円/kW | 7.8万円/kW | 設置作業にかかる費用 |
設計費 | 0.1万円/kW | 0.3万円/kW | システムの設計・図面作成費用 |
接続費 | 0.4万円/kW | 1.8万円/kW | 電力会社との系統接続のための費用 |
土地造成費 | ― | 1.5万円/kW | 地盤整備・整地に必要な費用 |
合計(施工費) | 7.4万円/kW | 11.4万円/kW |
なお、地上設置の施工費が高くなるのは、以下の要因があるためです。
- 整地や地盤の安定化など、地上ならではの工事が必要になる
- 風や地震の影響を受けやすく、屋根設置より頑丈な設計が必要になる
- 郊外など送電網から離れた場所に設置されることが多く、系統接続までの距離が長くなる傾向がある
地上設置は構造的にも環境的にもコストがかかりやすいため、事前の調査や設計段階でのシミュレーションが非常に重要となります。
(※1 参考)経済産業省|令和6年度以降の調達価格等に関する意見
産業用太陽光発電の設置費用を抑えるポイント
産業用太陽光発電の設置費用を抑えるポイントは以下のとおりです。
- 複数業者の見積もりを比較する
- 補助金・助成金を活用する
- 税制優遇を活用する
- PPAモデルを活用する
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
複数業者の見積もりを比較する
太陽光発電を導入する際は2〜3社以上から見積もりを取得し、それぞれの費用構成や提案内容を比較することが大切です。
なぜなら、業者によって設備費や施工費だけでなく、使われる機器の性能や保証内容、アフターサービスなどが大きく異なるためです。
また、相見積もりを提示することで、価格交渉に応じてくれる可能性もあります。
設置後に後悔しないためにも、導入前の段階で十分な情報を集め、自社の条件や目的に合った業者を慎重に選ぶことが重要です。
補助金・助成金を活用する
産業用太陽光発電を導入する際は、補助金や助成金を活用することで自己負担を大きく抑えられます。
たとえば、2025年3月時点で公募はまだ開始されていませんが、「需要家主導補助金(※1)」や「ストレージパリティ補助金(※2)」などが、2025年度も継続される見込みです。
ただし、補助金には公募時期があり、申請受付は限られた期間のみ行われます。最新情報を早めにキャッチし、必要書類や要件の確認を前もって進めておくことが重要です。
(※1 参考)一般社団法人太陽光発電協会|令和6年度予算の補助金情報
(※2 参考)環境省|二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付要綱及び同実施要領
税制優遇を活用する
税制優遇を活用することで初期投資にかかる税負担を軽減でき、実質的なコスト削減につながります。
たとえば「中小企業経営強化税制(※1)」では、一定の要件を満たした設備投資について即時償却または税額控除が可能です。
また「中小企業投資促進税制(※2)」では対象設備に該当すれば、30%の特別償却または7%の税額控除が認められます。
税制優遇制度 | 対象 | 措置内容 |
---|---|---|
中小企業経営強化税制 | 経営力向上計画の認定を受けた企業 | 即時償却または取得価額の10% (資本金3,000万円超1億円以下は7%) の税額控除 |
中小企業投資促進税制 | 取得価額160万円以上の機械装置を 導入する中小企業・個人事業主 |
30%特別償却または7%税額控除 (資本金3,000万円以下のみ) |
補助金と税制優遇を組み合わせて活用することで、資金負担を抑えつつ産業用太陽光発電を導入できます。
(※1 参考)中小企業庁|中小企業経営強化税制
(※2 参考)中小企業庁|中小企業投資促進税制
PPAモデルを活用する
PPAモデル(電力購入契約モデル)とは、太陽光発電システムの設置費用をPPA事業者が全額負担し、企業側が発電された電力を一定の価格で購入する仕組みです。
初期投資をかけずに再生可能エネルギーの導入を実現できるメリットがあります。
ただし、PPAモデルは電力を買い取る形になるため、自社で発電・消費できる自家消費型と比べると、長期的な電気代の削減効果はやや劣ります。
導入時の資金負担を抑えたい場合はPPAモデル、長期的なコスト削減を重視するなら自家消費型がおすすめです。
産業用太陽光発電の設置費用の回収期間
産業用太陽光発電を自家消費用として導入することで、電力会社から購入する電力量を削減できます。
たとえば、年間の発電量が100,000kWh、法人向けの電気料金単価が20円/kWhの場合、以下のように計算できます。
仮に設置費用が1,500万円だった場合、年間の電気代削減効果から単純に割り出すと、
1,500万円 ÷ 200万円/年 = 約7.5年で回収できる試算です。
ただし、実際には設置場所や使用電力のタイミング、契約プランなどにより、発電効率や削減効果が変わってくるため、個別のシミュレーションが不可欠です。
具体的な試算方法については、弊社の独自資料でさらに詳しく解説しています。導入コストや投資回収期間の計算方法などを知りたい方は、ぜひご活用ください。
産業用太陽光発電の維持費用
産業用太陽光発電の年間の維持費は1kWあたり0.5万円程度が目安です。発電システム1kWあたりの費用のため、導入容量が大きくなるほど総額も比例して増加します。
主な維持費の内訳は以下のとおりです。
維持費用 | 説明 |
---|---|
保険費 | 自然災害や火災などのリスクに備えるための保険料 |
清掃費 | パネルの表面にたまる汚れやほこりを定期的に洗浄し、 発電効率の低下を防ぐための費用 |
機材交換費 | 経年劣化したパワーコンディショナーや接続機器などの 部品を交換するための費用 |
維持費は設備の安全性や発電効率を保つために欠かせないコストです。あらかじめ運用費用も含めて導入計画を立てることで、より現実的で安定した太陽光発電の運用が可能になります。
産業用太陽光発電にかかる税金
産業用太陽光発電を導入する際は、導入時と設置後でそれぞれ税金が発生します。それぞれの内容を確認しておきましょう。
税区分 | 課税タイミング | 内容 |
---|---|---|
消費税 | 導入時 | 設備購入費や施工費に10%の消費税 が課税される |
償却資産税 | 設置後(毎年) | 設備が「償却資産」として課税され、 毎年固定資産税とは別に課税される |
固定資産税 | 設置後(毎年) | 設備が建物や土地と構造上一体と みなされる場合に課税される |
導入前に税理士や業者と相談し、税制も含めた総合的なコストシミュレーションを行うことが大切です。
産業用太陽光発電の減価償却
太陽光発電設備を導入した際、その費用は一度に全額を経費として計上するのではなく、「減価償却」で毎年分割して経費に計上します。
減価償却とは、資産の価値が年々下がることを反映し、その減少分を費用として計上する会計上の仕組みです。
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年とされており、原則としてこの期間で費用化していきます。
減価償却の計算方法には定額法と定率法があり、法人の場合、どちらの方法を選ぶかによってキャッシュフローに与える影響が変わります。
減価償却の計算方法 | 説明 |
---|---|
定額法 | 毎年同じ金額を費用として計上する方法 |
定率法 | 初年度に多く、年数とともに少なくなるように 費用を計上する方法 |
なお、「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」を活用すれば、法定耐用年数に関係なく即時償却や税額控除が可能です。
制度や会計処理については、導入前に税理士や業者に相談することをおすすめします。
産業用太陽光発電の撤去にかかる費用
産業用太陽光発電の撤去にかかる費用は設置費用の約5%程度が目安です。
たとえば、設置費用が2,000万円の場合、撤去費用はおおよそ100万円前後となります。
撤去費には以下のような作業が含まれます。
- パネル、架台などの解体・搬出
- 配線や基礎コンクリートの撤去
- 現地の整地・原状回復作業
- 廃材や産業廃棄物の処理費用
ただし、実際の費用は設備規模や立地条件によって前後する可能性があるため、導入時には撤去時の見積もりや契約条件を事前に確認しておくと安心です。
まとめ
産業用太陽光発電の設置費用は、1kWあたり約23.9万円が目安です。屋根設置型よりも地上設置型の方が、造成や強度対策などにより費用が高くなる傾向があります。
少しでも費用を抑えるためには、複数業者に見積もりを依頼することや、税制優遇を活用することが大切です。
導入後も減価償却や税金、維持費、撤去費用など、長期的な運用コストを視野に入れた計画を立てましょう。
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